中村屋が所蔵する主な「中村屋サロンの芸術家たち」の作品をご紹介します。

荻原守衛 《女》

撮影:大谷一郎

作者名
荻原守衛
制作年
1978年鋳造
サイズ
98.0×70.0×80.0
技法/素材
ブロンズ

荻原守衛(碌山)の絶作です。膝立ちのポーズで、両手を後ろに組んでいながらも前へ上へと伸び上がろうとする胴体。立ち上がろうとしながらも膝から下は地面についたまま立ち上がれない。つま先から額までが螺旋構造となり、不安定なポーズでありながら全体の動きの中で統一された美しさを放っています。また内側から迫ってくる緊張感と力強いエネルギーが観るものを圧倒します。

荻原は、1910年に《女》の石膏像を完成させて亡くなりました。同年、山本安曇によって鋳造され、その半年後の第4回文展に出品されています。その作品は現在、東京国立近代美術館に所蔵されていますが、本作品は、後に制作された石膏複製より鋳造されたものと考えられます。

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小女

中村彝 《小女》

撮影:上野則宏

作者名
中村彝
制作年
1914年
サイズ
69.8×65.3
技法/素材
油彩/キャンバス

中村屋の創業者である相馬夫妻の長女俊子をモデルとして描いた作品群における代表作。半袖の洋服に黒髪を両肩から胸に垂らし、両手をテーブルの上に交差させ、まっすぐに一点を見つめる俊子を描いています。1914(大正3)年の第8回文展に出品され、「ルノワールの官能の上にセザンヌの影と韻律とを重ねた」(守口多里)と評されましたが、描く対象の内面奥深くまで描き出す表現は、まさに彝独自のものといえます。

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自画像

高村光太郎 《自画像》

撮影:上野則宏

作者名
高村光太郎
制作年
1913年
サイズ
60.5×45.4
技法/素材
油彩/キャンバス

高村光太郎が欧米留学からの帰国後、「彫刻を作っても発表する場がない」、と油絵に注力した時期の作品です。高村は顔について、「顔ほど微妙に其人の内面を語るものはない。性情から、人格から、生活から、精神の高低から、叡智の明暗から何から何まで顔に描かれる」(高村光太郎「顔」)と述べています。筆致を大胆に残し、頬の部分には何度も絵の具を塗り重ね、眼光鋭くこちらを見返す自画像に、高村は自分の何を描こうとしたのでしょうか。

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林下十年夢 湖邉一笑新

會津八一 《林下十年夢 湖邊一笑新》

作者名
會津八一
制作年
1949年
サイズ
126.1×31.6
技法/素材
墨/紙

1949(昭和24)年11月、日展への招待作家としての処遇を拒み、同時期に新宿中村屋で開催した個展に出品した代表作品。大意は「山林にこもって修行しているうちに10年の歳月が経ってしまったが、苦労が報われて悟りを開くことが出来、明るく広い湖辺に出て喜びに浸っている」。

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